探偵と個人情報の関係

個人情報保護法という法律が制定されて以来、様々なところで個人情報に関する話が聞かれるようになりました。

企業から個人情報が洩れた場合、すぐさま株価が下落するなど、情報管理体制が行き届いていないとか、ずさんだといったネガティブなイメージを、多くの人が当たり前に持つようになったからです。

その一方で、相変わらず探偵事務所や興信所が存在し、浮気相手を突き止めて証拠を掴んできて欲しいという依頼者の要請に応え、男女それぞれの密会の場を押さえた証拠物件を掴んでいます。

この行動を見る限り、探偵社や興信所は個人情報保護法を守っていないのではないかという疑問が浮かんでくるのも、ごく自然なことです。

この点について探偵はどう考えているのか、さらには法律のもとでの解釈はどうなるのかが気になるところでしょう。

個人情報保護法が需要を逆に増やしている

かつては、小学生が名札に自分の名前を書いていたように、家の住所や電話番号、親への連絡先から血液型まで書いた名札を胸につけていました。

今のように携帯電話がない時代では、怪我をしたといった緊急の場合の連絡先が誰にでもわかるようにしておくことが、もっとも安全だったのです。

ところが今は、こうした個人情報をさらけ出すことのリスクの方が大きくなり、せいぜい苗字しか記されていません。

また、学校などに尋ねても個人情報保護法に違反するとして、答えを得ることが難しい世の中になってしまいました。

個人情報保護法の施行により、自力で特定の人物の個人情報を入手することが難しくなったため、探偵事務所や興信所はよりいっそう需要を増す結果となったのです。

さらに探偵が特定の人物の行動を探り、何らかの証拠を手に入れてくることは、依頼されてのことであれば大半が探偵業法の範囲内の行動と考えられるのも特徴です。

個人情報保護法における取扱件数に注目

個人情報取扱業者が個人情報保護法に違反するとされる規定に、半年間に5000人以上の個人情報を取り扱うところという定めがありました。改正個人情報保護法が平成29年5月30日より全面施行され、現在では5000人以下でも同法律の規制を把握して対応するように求められています。

探偵社や興信所は比較的規模の小さな事業所で依頼された業務を引き受けますので、どう頑張っても半年間に5000人もの個人情報を取り扱うことはありませんが法改正により小規模事業者も対象になりました。

依頼する人がなくならない限り探偵の需要はあり続ける

パートナーの浮気が発覚し、その浮気相手が勤めている会社がわかったとしても、会社が個人情報を教えてくれることはまずありません。

今や、誰もが携帯電話を持っている時代ですので、家族だと偽って情報を聞き出そうとしても、それなら直接連絡を取ってくださいと言われるのがオチです。

つまり、昔なら容易に聞き出せたところから情報が聞き出せなくなった以上、これからも探偵事務所や興信所を利用する人はなくならないと考えられます。

それどころかさらに需要が増すであろうことから、探偵はこれまで通りかなり踏み込んだ個人情報を入手してきます。

興信所及び探偵事務所は依頼人から依頼を受けて契約にまで至った場合に限り、特定の人物を調査することを認められているのですから、探偵にしろ興信所にしろ個人情報の取り扱いを巡ってあまり議論が起こらないのも納得できます。

探偵事務所も興信所も浮気相手を突き止めるだけでなく、行方がわからなくなった家族を探して欲しいといった依頼もあることを考えると、個人情報の取り扱いを云々するよりも独自に調査する存在としてのメリットがあることを探偵は如実に物語っていると言えるかもしれません。